2.印象に残っている治療
常盤:では院長先生と副院長先生から、印象に残っている治療についてお話して頂いてもよろしいですか?
院長:そうですねー。私は入れ歯を作ったある男性の患者さまかな。50代の方でした。来院時に歯は残ってはいましたが、歯槽膿漏でほとんどの歯がグラグラしていました。
その方は「食べたい物を食べるために歯を残したい」と言われましたが、健康的に噛める状態ではなかったのです。
そこで、カウンセリングを重ね、歯の根っこだけを残すことにしました。
根っこを残すのは顎(あご)の骨を減らさないためで、根っこを抜くと顎の骨が痩せていってしまうのです。
常盤:顎の骨って減っていくんですね。初めて聞きました。そして、根っこだけを残し、入れ歯を作られたのですか?
院長:はい、そうです。結果的に入れ歯にしたら、何でも食べられるようになり、大変喜ばれていました。
私たち歯科医師は、患者さまのご希望を聞き、そのときの歯の状態に対して、ベストな治療を考える。そして、患者さまのご希望のままにはいかないときでも、時間をかけて説明し、状況を理解してもらって治療を進めます。その患者さまも最後には笑顔で治療を終えられました。(*^_^*)
常盤:笑顔で治療を終える。それが一番ですね。
では、副院長先生はどなたか印象に残っている患者さまはいらっしゃいますか?
副院長:私は「ひだまりの笑顔のおばあちゃん」ですね。
入れ歯が合わなくて物が噛めないと悲痛な面持ちで来院されました。お話をお聞きすると、どこの歯医者さんでも「合うものは作れない」と言われたようなのです。そこで、私はお口の中を診ると、アゴがとても痩せていて、確かに作れないと言われてもおかしくない難しいケースでした。
私たちは、なんとかおばあちゃんに合う入れ歯が作れないかを検討しました。
その答えは、時間がかかるけど使用されていた古い入れ歯を修理しながら、少しずつ噛めるように治療をしていこうと考えたのです。そして、何度も修理していくうちに、少しずつ噛めるようになってきたんです。
ご本人も大喜びで、初めは白いご飯が食べられれば良いと言って来院されたんですが、それからというものは、「漬け物が食べたい」「ピーナッツが食べたい」などど、要望は増えるばかりになりました。(*^_^*)
常盤:ピーナッツ!可愛い。ピーナッツがお好きだったんですね。
副院長:そうそう(^^)結局3ヶ月ほどかけて古い入れ歯を修理し、使えるようになってから新しい入れ歯を作りました。その後も不具合を調整しながら、時間をかけておばあちゃんに合った入れ歯がやっとできたんです。ピーナッツが大好きだったおばあちゃん、最後にはピーナッツが噛めるようになったんですよ。
常盤:へー。その方が「ひだまりのおばあちゃん」ですか?
副院長:はい。日だまりの笑顔のちーっちゃなおばあちゃんでした。
歯が一本もなくても、笑顔が一番素晴らしい患者さまでしたよ。